福島市のピアノ教室「にこにこ千穂 音楽教室 Sun Sing Smile」

福島市でピアノ教室をしております渡辺千穂です。元特別支援学校音楽科教諭の経験を生かし丁寧なレッスンを行っています。

ベートーヴェンについて思うこと!

 昨日に引き続き、今日もベートーヴェンについて少し、書かせて頂きたいと思います。

 ベートーヴェンは、皆様もご存じのように耳の病に苦しみ、40歳に時には、完全に聴力を失いました。

 

 ここからは、ネットのWikipediaからの引用です。

~28歳には、最高度難聴者になる。音楽家として聴力を失うという死にも等しい絶望感から、1802年には、「ハイリゲンシュタットの遺書」をしたため自殺も考えたが、彼自身の芸術(音楽)への強い情熱をもってこの苦悩を乗り越え、再び生きる意欲を得て新たな芸術の道へと進んで行くことになる。~

 

 学生の頃、音楽の授業でベートーヴェンについて、このようなことを私も習いました。ただ、若かった自分には、「そうなんだ。ベートーヴェンはすごいなぁ」程度にしか分かっていませんでした。

 

 そして、今、ある程度長く生きてきて、それなりに人生経験を積んで、この上文4行を読むと、まるで、若い頃とは違い、その凄まじさが、ものすごくよく分かるようになりました。

 

 ここから、少し、自分のことを書かせて頂きます。 

 私も、左耳があまり丈夫ではなく、20代の頃、夏休みを利用して神戸に友達と旅行に出かけたのですが、旅先で、風邪のウィルスが左耳の鼓膜につき、宿泊していた宝塚のホテルでは、鼓膜が破ける時の猛烈な痛みに苦しみ、救急車で夜間病院に運ばれ、次に日からは、慣れない土地での病院探し、通院。ご一緒した友達には、旅どころではなくなり、本当に迷惑をかけてしまいました。福島に帰ってきてからも、毎日、耳鼻科に通院し、一時は、どうなることかと心配しましたが、治療で鼓膜が再生することができ、聴力が戻りました。

 

 でも、再生した鼓膜なので、薄くて破れやすく、その後も、耳の中が、あまりにかゆくて耳かきでちょっと触れていたら、破けてしまい、また、治療して、なんとか、再生。ということを、何回か繰り返しました。

 

 そして、最近では、父の介護中の、おととしの秋ごろ、また、耳がかゆくて、やってはいけないのに、耳かきで触れてしまい、左耳の鼓膜を破ってしまいました。前回が、かなり、前だったので、油断してしまったのです。悔いても、悔いても、なんとも、しょうがない。

 

 また、治療しましたが、今度は、自分自身の加齢もあり、なかなか穴がふさがらずに、心から困ってしまい、途方にくれました。鼓膜が破れたということは、左耳が全く、聴こえないのです。耳鳴りみたいな変な音がして、いつも、塞がっている嫌な不快感しかありません。皆様も、スカイラインのような高い山から下りてきた時に、気圧の変化で耳が塞がって嫌な感じを経験したことがないですか?あの感じがずっと続くのです。耳が聴こえないというのは、片方だけでも、とても辛いものです。この状態がいつまで続くのかということが常にあり、精神的に参ってしまうのです。私は、自分が、やってはいけないことをやってしまった自業自得なのです。本当にお馬鹿さんです。

 

 でも、なんとか、再生できないものかと、とても焦りました。ただし、このような状況で、良くないことを考えれば考えるほど、悪いことを呼び込み、状況が更に悪くなるということを、自分の甲状腺の病気の時も、父と母の介護の時も学んだので、言葉だけでも、前向きな明るい言葉を使おうと思い、「心に太陽を 唇に歌を 周りに笑いを」という言葉を呪文のように自分に言い聞かせ、気持ちを切り替えるように努めました。そうしたら、女医先生で、とても良い先生がいると教えて下さった方がおり、藁にもすがる思いで、その病院に行き、その先生に治療して頂き、やっと無事治ることができました。

 

 その先生は、左耳の穴の状態もきちんと説明して下さり、細胞を活性化させる液をしみ込ませた紙のシートを穴に貼り、様子をみましょうとおっしゃいました。そして、もし、自分の病院で治らなかったら、大きい病院を紹介するから、大丈夫ですよと優しくお話して下さいました。私は、うれしくて涙がでそうになりました。

 そして、私は、今度は、絶対に左耳の鼓膜に触らないように、家中の耳かきを捨てました。耳のお掃除は病院でやって頂きます。

 

 このような事を自分が経験すると、ベートーヴェンの想像を絶する苦悩が・・・・。私は、幸いにも、治ったけれど、ベートーヴェンは両耳の聴力を完全に失った・・・。

 

 

 あの4行の重みがものすごくわかります。ベートーヴェンは、自殺さえも考えた苦悩から、それを乗り越え、再び生きる意欲を得て新たな芸術の道へと進んで行く。そして、第9の作曲に至るのですね。絶望から歓喜へ。第9の有名なミミファソソファミレ~の美しい旋律!誰でも口ずさめる旋律でありながら、深く深く奥行きが広がる素晴らしさ!ベートーヴェンの人間としての素晴らしさ、芸術家として時代を超えて、いつまでも輝きを放つ!これからも、ずっと永遠にベートーヴェンの音楽は人々と共に、生き続けていきます。

 そんな素晴らしいベートーヴェンが作曲したピアノソナタを、時代と空間と飛び越えて自分が弾ける喜びを感じながら、これからもいろいろ学んでいき、自分の演奏に生かしていきたいと思います。

 

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